施工期間が短く、コストカットも可能で需要も高まるプレハブ住宅ですが、時代に合わせて変遷しているのはデザインだけではありません。
簡素な作りな印象があるかもしれませんが様々な機能を兼ね備えています。
ただ、クリアしなければならない税金問題もありますので、知識を深めていきましょう。
目次
少しでも自然エネルギーの供給を増やし、環境にやさしい電力消費を心がけようとする動きが近年活発化していますが、一方で電力不足も深刻な問題です。
かねてより、省エネはさまざまな分野での課題になっていましたが、コロナ禍でのリモートワークの普及に伴い、さらに電力不足に拍車がかかる状況となりました。自宅で過ごす時間が増えたことで、食費は抑えられたり交際費、交通費が減少したりと家計の圧迫が減ったカテゴリもあるのに対し、光熱費は増加している家庭が多いようです。
そのため、最近では省エネ性能を搭載した住宅に注目が高まり、プレハブ住宅業界にもその動きが活発化しています。
自給自足ができる住宅として知られているのが“ZEH(ゼッチ)”です。
ZEHは、ネットゼロエネルギーハウスの略称。住宅の高断熱、高効率設備、太陽光発電によりエネルギーを創り、地球温暖化、温室効果ガス
などのエネルギー量を削減、給湯や冷暖房等の光熱費の収支をゼロとする住宅です。
●断熱
ZEHとして認定されるためには断熱性能を高めることが必要です。
断熱材や窓の性能を高めることで、冷暖房に使うエネルギーを減らすことができます。
●省エネ
「省エネ」にはHEMS(ヘムス)という、住宅内の消費エネルギーと太陽光発電等で創るエネルギーを確認できるシステムが必要になります。
また省エネタイプのエアコンや、高効率な給湯システム、消費電力の少ないLED照明等の導入が必要になります。
●創エネ
ZEHでは太陽光発電システムなどの再生可能エネルギーシステムを備えることが求められます。
この「創エネ」で創り出すエネルギーが、消費するエネルギーを上回るようにしなければなりません。
この三つの要素があって、初めてZEHと認定されます。停電の際にも蓄電した電力を使うことができるため、有事の際にも大変心強いですね。
自宅で過ごす時間が増えている今だからこそ、ニーズが高まっていると考えられます。
IoT(アイ・オー・ティー:Internet of Things)はモノのインターネットと訳されているように、モノにインターネットを接続させ人々の利便性を高める技術のことです。
最近では、住宅づくりにもIoTが取り入れられています。
プレハブ建築協会は、2018年度中にも、IoT関連の勉強会などを主宰するプラン推進委員会の中に「IoT等検討ワーキング」というグループを設置するなど、本格普及に向けて、各社が進めている取り組み事例の情報共有化を図るなど、導入に向けて積極的な姿勢をとっています。
IoT住宅では、スマートフォンやパソコンなどのインターネットデバイス、または登録した音声などを介して、住宅に使用している家電や設備を操作することが可能です。
例:
・照明を操作する
・施錠する
・音楽をかける
・浴そうに湯はりする
・カメラで室内の様子を確認する
・非常時に通知する
IoT技術は応用性が高いため今後さらなる展開が期待できます。
ホルムアルデヒドによる健康被害などが多発したことで、近年は自然素材を活用した住宅づくりも流行し、その動きがプレハブ業界でも盛んになってきています。
健康住宅は、漆喰や無垢の木材を使用した壁、床、天然由来の断熱材など、化学物質を含まない、もしくは含まれていてもごく微量の建材や接着剤を活用している点が特徴です。自然を生かして快適さを高めることも魅力的ですよね。
大手住宅業者のダイワハウスでは、平成7年1月に起きた阪神・淡路大震災で全半壊ゼロという実績により、 その耐震性の優秀さを実証しましたが、「住宅の更なる安全性の向上」を目指し、プレハブ住宅業界で初めて「免震住宅」を商品化しました。
その後、更なる機能向上を目指し、2003年、コストパフォーマンスに優れた「ダイワハウス新免震住宅」システムを発売するなど、大手企業によるプレハブ住宅の安全制も実証されています。
一般住宅に目を向けても、これまで子ども部屋を確保する目的で部屋数の多い間取りが選ばれる傾向にありました。しかし、少子化による子どもの減少や、子どもがいない核家族世帯の増加により、部屋数を細分化せず、広々としたリビングのある間取りの需要も増えてきています。
LDK部分についても、これまではキッチンを分離したスタイルが一般的だったのに対し、キッチンからリビングが眺められる一体感のあるLDKが人気です。
ワンルーム・DKのコンパクトタイプ
6坪(2間×3間)
7坪(2間×3.5間)
8坪(2間×4間)
2DK・2LDK・3DK・さらにそれ以上
12坪(3間×4間)
15坪(3間×5間)
18坪(3間×6間)
2階建てのプレハブ住宅も多数あり、ゼロから造れるオーダーメードのプレハブ住宅もありるなど、企画内で自由自在に間取りを選ぶことができます。
プレハブ住宅の法定耐用年数は、軽量鉄骨の厚さによって19年や27年などに分けられていますが、「もう住めないほどダメになる」というわけではありません。メンテナンス次第で40年〜50年ほど住むことは可能で、中には60年という長期保証をおこなっているメーカーもあるほどです。
面で支える特徴を持つプレハブでは、間取り変更が困難なことがデメリットとして挙げられますが、規格内ならある程度の自由が効くこと、また、改造に関してもパーテーションや可動式の仕切りで半個室のワークスペースをつくる、階段下などを活用して個室をつくるなどさまざまなアイデアが実践されています。
日々流行のデザインが変化し、家族形態の変化によって、暮らし方のニーズも刻々と変わりますが、時代の流れに沿った変更にも対応できるのはいいですよね。
家の敷地内に’プレハブの建物を建てたい’とき、どのような税金がかかってくるのか疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。建物等の不動産に課税される代表的な税金として、”固定資産税”があります。
一体、プレハブの建物に固定資産税はかかるのか、その条件や建築確認の必要性、プレハブを建てる際の注意点などについてまとめていきます。
固定資産税とは、1月1日時点で土地や建物などの不動産を所有している人に課税される税金のこと。1月1日時点で不動産を所有していた人には、所在する市町村(東京23区の場合は東京都)から毎年4月頃に「納税通知書」と「納付書」が郵送され、納付期限までに税金を納めなければなりません。
国税と地方税という2種類の税金がありますが、固定資産税は地方税法という法律により地方税に分類されます。
つまり、地方税である固定資産税は、その不動産の所在する市町村に納税する義務があります。
固定資産税は“土地および家屋について課税される税金”で、法律で規定されている家屋にその支払いの義務が生じます。実際にはどのようなものなのでしょうか。
【固定資産税が課税される家屋の条件】
❶屋根と周りに壁があること(外気分断性)
外気分断性といい、外とは遮断されていて風雨をしのぐことができる空間があることを指します。
❷建物が土地に定着していること
基礎などで建物がしっかりと土地に固定されているかどうかが問題になります。
❸ 家屋の用途性の遵守
建物が住居・作業場・倉庫などそれぞれの使用目的に適した空間になっていること
家屋にあたる建物は以上の3つの条件を満たしているものをいいます。
プレハブの物置は実際に固定資産税が課税される家屋にあたるのでしょうか。
床下の簡易な基礎に固定され、物置として使用できる程度の空間があれば、固定資産税が課税される家屋に該当します。
ちなみに、貨物用のコンテナを活用した住居のコンテナハウスも固定資産税がかかります。
一方、四隅にコンクリートのブロックを置いて、その上に物置が設置されているような場合は、土地への定着性がないため、家屋には該当しません。たとえプレハブの物置であっても、3つの条件に該当するものであれば固定資産税の対象になり、1つでも条件が該当しなければ固定資産税の対象にならないのです。
建築基準法で規定されている建築物を建てる際は、”これから建築する建物が建築基準法の規定にのっとった安全な建物であることを申請先の機関に確認してもらうこと”を意味する’建築確認’申請を行う必要があります。
耐震性の著しく低い建物が乱立してしまうと、その建物を使用する人のみならず周囲の人にも危険が及ぶためです。
プレハブの建物であっても、屋根があり屋内として使用できるなど一定条件を満たす場合は建築確認を受けなければなりません。これをしないと違法建築物とみなされ、また、建築確認を申請したとしても、建築基準法に適合していると認められなければプレハブを設置することはできないので注意が必要です。
【固定資産税】
プレハブにかかる固定資産税の額は、サイズ・課税床面積・構造用途によって変化します。
また、家屋の評価額は土地と異なり、経年劣化により変動することが特徴です。つまり、プレハブのサイズ・課税床面積・構造用途に応じて算出された額から経年劣化を考慮した額を減額して評価額を出します。評価額に対して固定資産税の税率である1.4%をかけた額が、固定資産税の額となります。
【都市計画税】
また、都市計画法で定められた市街化区域内の土地にプレハブを建築する際は、都市計画税という税金を支払わなければなりません。評価額に対して都市計画税の制限税率である0.3%(地域によって異なる)を上限としてかけた額が、都市計画税の額となります。プレハブを設置する予定の地域が、市街化区域内かどうかを事前に確認しておきましょう。
【税金がかからない建築物】
上述の三つの条件を満たしていなければ税金はかかりません。
・カーポート
屋根がありますが周囲に壁はなく、カーポートでは風雨はしのげそうにはないため、外気分断性
がないといえます。
・造園用ビニールハウス
屋根や壁はあるといえますが、土地に定着しているとはいえません。
・工場で組まれた物置をそのまま設置したプレハブ
プレハブの物置であっても、基礎から建築されたものではなく、工場で組み立てられた物置をそのまま地面に設置したようなものについては税金がかかりません。
プレハブには様々な機能性が兼ね備えられつつあり、また間取りも、印象よりははるかにフレキシブルに変更可能で、メンテナンス次第では耐用年数より長く住み続けられることがわかりました。
期待が高まるプレハブですが、固定資産税や都市計画税がかかり、複雑で専門的知識が必要な建築確認申請が必要だったりと、越えなければならないハードルもあります。専門家に必ずアドバイスをもらい、指示を仰ぎながらプレハブ計画を気持ちよく進めていきましょう。