愛犬が思い切り走れるように、時間を見つけてはドッグランに連れていく飼い主さんも多いでしょう。とはいえ、お休みのたびに連れていくのは大変ですよね。
「もっと連れていってあげたいけれど、疲れているからめんどう」
「意外と料金がかさむので利用しづらい」
などの理由から、自宅の庭にドッグランをつくろうかと考えている飼い主さんもいるのではないでしょうか。しかし、いざつくろうと決心をしても、そもそも庭にドッグランがつくれるのか、費用はどのくらいかかるのか気になりますよね。
そこで、この記事では庭にドッグランを作る際の費用相場やメリット・デメリットなどについて、詳しく解説していきます。必要なスペースや注意点なども解説しますので、設置を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
ドッグランの設置に必要なスペースは、大型犬か小型犬かによって異なります。おおよそのスペースの目安は以下のとおりです。
500㎡ともなるとかなりの広さで、一般の家庭ではなかなか難しいでしょう。ただし、庭が広くない場合でも工夫次第でドッグランの設置は可能です。たとえば住居の横にスペースがある場合、庭とつなげることで走れる距離を長く確保できます。
庭へのドッグランの設置は、単に愛犬を遊ばせる場所ができるだけではなく、ほかにもいろいろなメリットがあります。ここでは、おもなメリットについてご紹介します。
庭にドッグランを設置する大きなメリットのひとつは、いつでも運動できる環境があることによって、愛犬がストレスを溜めずにすむことです。一般的に、犬は人間よりも多くの運動量を必要とします。なかなか散歩に連れていけなかったり、散歩の距離が短かったりすると運動不足になりやすく、ストレスを溜めることにつながります。
自宅にドッグランがあれば、犬はリードをつけずに自由に走ることができます。運動不足はもちろん、ストレスも解消できるでしょう。
住んでいる地域によっては、近くにドッグラン施設がない場合もあります。また、連れていってあげたくても、なかなか時間がとれないこともあるでしょう。庭にドッグランがあればわざわざ施設に連れていく必要がなく、飼い主さんの負担も軽くなります。
ドッグラン施設は、基本的に利用料の支払いが必要です。料金設定は施設や犬種、平日か休日かなどによって異なります。
なかには無料の施設もありますが、1回あたり500~1,500円ほどかかることが一般的です。別途、入会金や年会費が必要なドッグラン施設もあります。
このようなドッグラン施設を頻繁に利用するとなると、軽視できない金額になるでしょう。自宅のドッグランであれば、もちろん料金は発生しないので節約にもなります。
多頭飼いをしている場合、犬種や年齢によってそれぞれ必要な運動量が異なります。たとえば、若ければたくさんの運動が必要ですが、シニア犬であればそれほど必要としません。また、性格的にのんびり過ごしたい犬も、知らない人やほかの犬を怖がる犬もいるでしょう。
自宅ドッグランの場合、走り回ったりくつろいだりとそれぞれが好きなペースで過ごせます。知らない犬が近くにいないことで、慎重な性格の犬でも安心して遊べます。
ドッグランの設置にはたくさんのメリットがある一方で、いくつかデメリットもあります。設置する前に、どのようなデメリットがあるのかを理解しておきましょう。
庭にドッグランを設置する場合、芝やチップなどの庭材を敷くことが一般的です。最初に敷けば終わりというわけではなく、庭材の種類にあわせて適宜メンテナンスをする必要があります。
たとえば、天然芝を敷いた場合には水やりや雑草の処理が欠かせません。こまめなメンテナンスが難しいようであれば、庭材はあまり手がかからないものを選ぶとよいでしょう。また、犬が道路に飛び出さないように、フェンスや扉が傷んでいないか点検することも大切です。
庭によく植えられている一般的な草花のなかには、犬が誤食すると害になるものもあります。たとえば、以下のような草花です。
アジサイ、アサガオ、チューリップ、カーネーション、スイセン、パンジー ピオラ、シクラメン、ユリ、クリスマスローズ、スズラン、スイセン、ツヅジ
害になる植物を口にすると、嘔吐や下痢、けいれんなどの症状を起こす恐れがあります。普段は飼い主が与えたもの以外は食べない賢い犬でも、遊んで興奮しているときにうっかり食べてしまう可能性がないとはいえません。ドッグランの近くには犬の害になる植物を極力植えないようにしましょう。
ドッグランを作る場合、最低限必要なものは「庭材」「フェンス」「扉」の3つです。そのほかに水飲み場や休憩スペースを設けると、飼い主さんも愛犬もより過ごしやすくなります。ここでは、最低限必要なもの3つのほかに、あると便利なものについてもご紹介します。
地面が硬かったり滑りやすかったりすると、犬の足腰に大きな負担がかかります。また、土のままでは雨が降った後にぬかるんでしまい、走らせにくくなることもあるでしょう。そのため、ドッグランを設置する際には庭材を敷くことが一般的です。
主な庭材には、天然芝・人工芝・ウッドチップ・バークチップなどがあります。それぞれのメリット・デメリットは以下のとおりです。
床材 | メリット | デメリット |
---|---|---|
天然芝 |
柔らかくクッション性が高いため、犬の足腰にも優しい |
水やり、草むしり、芝刈りなどに手間がかかる |
人工芝 |
メンテナンスがほとんど必要なく、年間を通してきれいな状態を維持しやすい |
価格が高い |
ウッドチップ |
爽やかな香りがする |
チップが割れて犬の肉球などに刺さることがある |
バークチップ |
高級感があり、庭が洗練された雰囲気になる |
価格が高め |
予算や作りたいドッグランのイメージ、設置後にどれだけメンテナンスができそうかなどを十分に考慮して選びましょう。
ドッグランには、走って興奮した犬が道路に飛び出さないようにフェンスの設置が必要です。大型犬を飼っている場合は、飛びついても倒れないように強度の高いフェンスを選びましょう。
また、フェンスを選ぶ際には、高さや地面との隙間にも注意が必要です。大型犬の場合はジャンプして飛び越えないよう、高いフェンスを設置します。小型犬はフェンスと地面のあいだに隙間があるとすり抜けてしまう恐れがあるので、隙間をつくらないようにしましょう。
フェンスには以下のような種類があります。
種類 | 特徴 |
---|---|
メッシュフェンス |
比較的安く、耐久性にも優れている |
アルミ製フェンス |
軽くて丈夫 |
樹脂製フェンス | 木目調でおしゃれな雰囲気が演出できる |
鋳物フェンス |
重厚感がある |
予算や作りたいドッグランのイメージに合わせて選びましょう。
ドッグランはフェンスで囲うだけでなく、出入り口となる扉の設置も不可欠です。フェンスとおなじように、愛犬がジャンプして飛び越えたり、地面との隙間からすり抜けて出ていったりしないように注意しましょう。
また、器用な犬は自分で扉を開ける可能性があります。そのため、自力では開けられない構造の扉を選ぶことも大切です。たとえば、扉を手前に引いて開けるタイプや、ツマミを回さないと開かないタイプを選ぶとよいでしょう。
ここでは、ドッグランにあると便利な設備をいくつかご紹介します。
走ったり遊んだりしたあとの犬は水分補給が必要です。庭のドッグランに水栓設備があれば、すぐに新鮮なお水を与えられます。
また、愛犬を室内で飼っている場合、ドッグランで汚れた足を水栓設備ですぐに洗うことができます。室内に戻る導線を考慮すると、住居の掃き出し窓や玄関など、出入りをする場所の近くに水栓設備を設置するとよいでしょう。
ドッグランのなかに休憩できるスペースがあれば、運動の合間に犬が休むことができます。また、休憩スペースには日よけをつけるとよいでしょう。日陰ができると愛犬がより過ごしやすくなります。
ドッグランの片隅にトイレスペースを作るのもおすすめです。トイレスペースだけで排泄させれば、ほかの場所を汚さず清潔に保てます。
ドッグランの一画をレンガや縁石などで仕切り、砂利を敷けばトイレスペースになります。消臭砂利を使うと臭い対策になるのでおすすめです。犬用トイレパンを置く方法もあります。
アジリティとは、トンネルやジャンプバーといった犬が遊べる道具類のことです。キットが販売されているので、購入してドッグラン内に設置すれば愛犬もより楽しめるでしょう。
庭にドッグランを設置する場合とき、業者に依頼する場合はある程度まとまった費用がかかります。そのため、自力でつくれないかと考える方もいるでしょう。
結論からいうと、DIYでもある程度作ることはできます。ただし、フェンスの設置や庭材を敷設するといった作業は可能でも、土台となる庭の整地や排水の施工などは大変です。地面を平らにならすことができずにデコボコしていると、愛犬が走ったときに足を傷める恐れがあります。
そのため、庭の工事は業者に依頼して、庭材を敷くなどできる範囲はDIYで作るという方法がおすすめです。
庭にドッグランを作るのにかかる費用は、おおむね以下のとおりです。
外構工事業者の費用に大きな幅があるのは、ドッグランの広さや形状、使う素材などがそれぞれのケースで異なるためです。簡易的なドッグランを作るのであれば比較的安く収まるでしょう。庭全体をドッグランにする場合は、基礎工事が必要になることから100万円を超えるケースもあります。
DIYで作る場合、フェンスを立てて庭材を敷くといった簡易的なドッグランであれば30万円程度に抑えることも可能です。本格的なドッグランを作りたいのであれば、業者に依頼するほうが安心です。
庭にドッグランを作る際には、いくつか注意すべきポイントがあります。あとでトラブルにならないよう、注意点をしっかりおさえておきましょう。
「庭にドッグランを作るデメリット」でご説明したように、犬が食べると害になる植物は少なからず存在します。ドッグランを作る予定の庭に植物がある場合、犬にとって害があるものかよく調べましょう。有害性のある植物であれば、離れた場所に植え替えをするか処分をしましょう。
ドッグランは必要な手入れをしなければ劣化が早く進みます。定期的に以下のような点検・メンテナンスをおこないましょう。
犬が興奮して鳴き続けると騒音となり、近隣に迷惑をかけてしまいます。愛犬がよく鳴く性格であれば、防音性のある床材やフェンスを使うなどして、なるべく音が出ないようにしましょう。知らない人を見ると吠える犬の場合は、目隠しできるフェンスを使うのがおすすめです。
自宅の庭にドッグランを作ると、以下のようなメリットがあります。
ただし、使用する庭材によってはメンテナンスに手間がかかる点に注意しましょう。
ドッグランは庭材・フェンス・扉を用意すれば作ることができます。さらに、休憩スペースや水飲み場、トイレスペースも設置すれば、愛犬も飼い主さんもより快適に過ごせるでしょう。
DIYもできますが、本格的なドッグランを作るのであれば外構工事業者に依頼することをおすすめします。十分に検討して満足のできるドッグランを作り、愛犬との時間を楽しんでくださいね。