アウトドアブームの中、ソロキャンプやグランピングなどが流行し、YouTubeやメディアでも取り上げられています。自然の中でゆっくり過ごせるキャンプ場に多くの人が訪れており、場所によってはかなり混雑しているのを目の当たりにしたことがある方もいるでしょう。
キャンプ場のニーズは増加しているため、キャンプ場をつくり、運営してみたいと考える方もいるのではないでしょうか。しかしキャンプ場をつくるといっても、さまざまな工程を踏まえる必要があります。そこでこの記事では、キャンプ場をつくるために必要なことを、外構工事のプロが徹底解説していきます。
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近年、キャンプやグランピングにおいてキャンプ場のニーズが高まっており、成長産業として注目されています。日本オートキャンプ協会の「オートキャンプ白書2022」によると、2021年のオートキャンプ人口(1年間に1泊以上のオートキャンプをした人の数)は750万人に達し、コロナ禍で610万人に落ち込んだ時から大幅に回復した結果が出ています。
また、中庸企業庁が運営する補助金制度「事業再構築補助金」では、2023年5月に成長枠の対象業種として「キャンプ場・グランピング事業」が認定されました。キャンプ場の平均稼働率は 2022年は20.7%と、前年から0.3ポイント伸びて、過去最高を更新しています。これらの状況から、アウトドア需要は一過性のブームではないと考えられ、キャンプ場をつくるのに良いタイミングといえるでしょう。
キャンプ場を作るメリットは3つあります。
上記でお伝えしたように、キャンプブームによりキャンプ場の需要拡大が見込まれるため、多くの人が利用してくれる可能性が高いといえるでしょう。さらに、キャンプ場は多くの建物をつくる必要がなく、最低限の設備で開業できます。
テントを設置したり、駐車できたりするスペースがあれば良いため、ある程度整地されていればキャンプ場として成り立ちます。また、引き継いだキャンプ場であれば固定客がすでにいる場合が多く、新たに建物をつくる必要はないため、収益化のハードルが低いでしょう。
キャンプ場をつくる前に、知っておくべきデメリットがあります。
キャンプ場をつくる際、1ヘクタール以上の森林伐採をする場合、林地開発許可が必要です。他にもキャンプ場につくる施設の内容によっては、旅館業許可・飲食業許可・酒類販売業免許が必要な場合があります。
また、キャンプ場はシーズンや天候などで利用率が下がったり、今後ライバルが増加したりして、安定した経営が難しくなることも考えられます。人気のグランピング施設や手ぶらで泊まれるコテージ施設をつくるなど、長期的な運営能力が求められるでしょう。
キャンプ場をつくるための初期費用は、500万〜3,000万円程度かかります。初期費用には、土地の購入代の他に、樹木の伐採や生地などの整備コストと、管理棟・トイレなどの建設コストが含まれます。
ただし、これらの費用は土地の広さや立地、購入した土地の状況、施設の有無によって異なります。キャンプ場開業後にも、運営するための水道光熱費や人件費などのランニングコストがかかるため、トータルで経営計画を立てましょう。
キャンプ場の初期費用で大きな割合を占めるのは土地の購入代です。購入費用の目安は、郊外の自然豊かな場所を想定すると、安くて200万円前後、広い土地なら3,000万円程度です。土地代は接道状況や購入面積、地域などで変わるため、地域に詳しい地元の不動産会社に相談すると良いでしょう。
キャンプ場をつくるにあたって、手作業をメインとするか重機を使用するかで、整地にかかる料金が変わります。電動ノコギリなどを購入して手作業で整地する場合、伐採や抜根・ならしなどに使う工具代は、10〜20万円程度かかります。
一方、広い面積を整地したり多くの木を伐採したりする場合は、手作業ではできないため、重機をレンタルして作業します。レンタル代は、およそ1台で3万円前後かかります。専門業者に作業を頼むと、掘削、残土処分、砕石・転圧などの作業として、一般的な料金は1平方メートルあたり3,000円程度です。しかし、現場に重機を運べないなど特殊な環境でつくる場合は、追加料金がかかるため、事前に確認しましょう。
キャンプ場に管理棟をつくる場合、受付やシャワー・トイレなど、最低限の設備を備えた建設費は約1,000万円かかります。また、管理棟をつくる場所が都市計画区域内の場合は、行政による建築確認が必要です。都市計画区域外の場合は管轄が細かく分かれているため、該当する場所に申請して検査を受ける手続きをしましょう。
利用者がテントを張るシンプルなキャンプ場での収入源は、主に以下の内容が考えられます。
他にもキャンプ場の収入源として、シャワーなどの施設使用料、グランピングやコテージ施設の宿泊料、手ぶらで利用できる食材提供サービス料などがあります。ただし、これらを管理・運営するには、メンテナンスや人件費などのランニングコストも増加するため、施設を建てる前に集客する方法を検討しましょう。
テントが張れるような平たんな場所にキャンプ場をつくるために、地域森林計画対象民有林を伐採する場合、樹木1本だけや低木の伐採であっても市町村への届け出が必要です。なぜなら、森林は自然災害を防ぐなどの役割があり、行政の管理下にあるからです。届け出のない森林開発は、住人の安全において問題を起こす可能性があります。
ここでは、キャンプ場をつくる広さによって、必要な許可や届け出について解説します。
キャンプ場をつくるにあたって、1ヘクタール以上の土地を整地するために整地のために伐採する場合は、面積に応じて都道府県知事の許可が必要です。キャンプ場をつくる前に、市区町村の森林保全係や、林業振興課などの窓口で申請します。申請には多くの書類が必要なうえ、許可が下りるまで約3カ月かかることもあるため、キャンプ場をつくるまでの時間にゆとりを持って準備しましょう。
キャンプ場をつくる面積が1ヘクタール以下であっても、伐採や開発を行う場合は事前の届け出と報告が必要です。「小規模林地開発計画書」と「伐採および伐採後の造林の届出書」の提出と、整地後には「小規模林地開発完了届出書」で作業を終えたことを報告しなければなりません。個人所有の森林でキャンプ場をつくる場合でも、これらの届け出は義務付けられており、違反すると100万円以下の罰金が科せられます。
キャンプ場を経営するには、さまざまな免許が必要です。ここでは、キャンプ場を経営するために必要な免許を3つ紹介します。
利用者がテントを張るだけのシンプルなキャンプ場だけではなく、宿泊施設をつくる場合は、旅館業営業免許が必要です。簡易宿泊所扱いとなる宿泊施設は、コテージ・ロッジ・バンガロー・グランピングテント・トレーラーハウスです。
違反した場合、最大で懲役6カ月または罰金100万円、もしくは両方受けることがあります。旅館業営業免許の申請手続きは、事前に管轄の保健所へ衛生環境について相談し、都道府県の旅館業法担当窓口に必要書類を提出します。
近年流行している「手ぶらで利用できるキャンプ場」や「料理を作ってくれるキャンプ場」をつくる場合は、飲食店業の許可と消防署への届け出が必要です。これらの許可は、未調理の食材のみを提供する場合も該当します。飲食店業許可証の申請手続きは、工事前に平面図などの書類を持って管轄の保健所へ相談し、その後申請手続きをします。
また、飲食店業許可証の申請には、1名以上の食品衛生責任者の配置が必要です。食品衛生責任者は自治体が開催する講習会を6時間程度受講すれば取得できます。さらに、バーベキュー施設や飲食店をつくる場合は、消防署へ防火対象物使用開始届を提出する義務があります。
キャンプ場をつくる際に、収益性を上げるためにアルコール類の販売もする場合、酒類販売業免許(酒類小売業免許)が必要です。ただし、アルコールの提供方法によって申請内容が異なります。
酒類販売業免許は、管轄の税務署へ申請書を提出します。その際に「酒類販売管理者選任届出」が必要です。酒類販売管理者とは、3年以内に「酒類販売管理研修」を受講した人を指します。また、飲食店で深夜0時以降もアルコールを販売する場合、深夜酒類提供飲食店営業の届け出が必要です。
ここでは、キャンプ場をつくる具体的な手順を紹介します。
まずは、キャンプ場をつくるための土地を探して購入します。自分や家族が所有する土地を活用したり、すでにキャンプ場として整備されている土地を購入したりする方法もあります。新たに土地を買う場合は、山林組合や地元の不動産会社で紹介してもらうか、もしくは山林の仲介や売買を専門に取り扱うサイトで探してみましょう。
土地を探す際の注意点は、アクセス環境やインフラ整備の状況、境界線の有無を確認することです。さらに、その地域の規制や法律、ハザードマップの確認などを入念に調べておきます。その上で下見に行き、地元の方々の評判を聞いて購入すると、万一のトラブルを回避できるでしょう。
キャンプ場をつくる前に林地開発許可などを申請してから、樹木の伐採や抜根、草刈を行います。広い土地の場合は、専門業者に依頼して重機を使って一連の作業をします。
しかし、冬以外の時期は、草刈をしてもすぐに雑草が生えてきます。除草剤や防草シートを活用しても、広い範囲の管理は難しいでしょう。そのため、開業まで予定通り進められるよう、スケジュールや費用の管理に気をつけましょう。
利用者がテントを張りやすくするために、キャンプ場を整地します。また、車を乗り入れられるオートキャンプ場でない場合は、利用者が公道に駐車しないよう駐車場を整地しておきましょう。
広いキャンプ場と駐車場を整地する際、重機を使うと効率が良いため、専門業者に依頼しましょう。駐車場は整地しないで土のままにしておくと、くぼみやすく水たまりができるため、砂利敷きやコンクリートでの施工がおすすめです。
自然豊かなキャンプ場でも、管理棟や水道設備をつくると多くの人に利用してもらいやすいため、水道や電気のインフラ工事をしておきましょう。水を得るには、井戸を作る・近くの水道管から引く・川や沢の水を利用するなどの方法があります。
キャンプ場の環境に合わせて、適切な方法で設備を整えましょう。また、電気ポンプを用いた井戸やシャワー施設などを作る場合は、電力会社に依頼し、電柱を立てる必要があります。
キャンプ場をつくる際、トイレの設置をおすすめします。なぜなら、女性客やファミリーなどの幅広い客層に安心して利用してもらえるからです。キャンプ場でつくるトイレには、汲み取り式・簡易水洗式・本水洗式・バイオ式があります。
利用者が最も使いやすいのは、一般的な公衆トイレと同じ仕組みの本水洗式でしょう。ただし、本水洗式を採用する場合は、給排水工事が必要です。
ここまで、キャンプ場をつくるために必要なことを、外構工事のプロが徹底解説してきました。アウトドアブームやキャンプブームは一過性に留まらず需要が見込まれるため、山地や農地転用の土地活用としてキャンプ場経営が注目されています。最低限の設備のみのキャンプ場であれば、それほど費用をかけずに作れるのも大きな魅力です。
一方、多くの人に使ってもらえるキャンプ場を作るには、森林の伐採・抜根や整地など、かなりの労力がかかります。そのため、キャンプ場作りの専門的な知識を持ったプロに相談し、快適なキャンプ場を作りましょう。外構に関するお悩みがある方は、当社「ZOUS(ゾウズ)」までお気軽にご相談ください。
「Outside & Life Style 自分の庭を遊び尽くす!」をモットーに、海外のようなお庭で、外の目を気にせずプライベートが楽しめる空間デザインを得意としています。これまで数々のエクステリアを手掛けてきた知識と経験の豊富なスタッフが多数在籍しています。
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