サウナ経営に必要な施工費や注意点を解説
近年、サウナ人気が急速に高まっているため、経営に挑戦する方の数も増加傾向にあります。サウナ好きの方のなかには、自ら経営してみたいと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
サウナ経営を成功させるためには入念な準備が必要です。また、開業にはまとまった初期費用が必要になるため、経営にあっては綿密な資金計画も不可欠です。この記事では、必要となる費用や注意点、サウナ経営を成功させるためのポイントについて解説していきます。サウナ経営に興味をおもちの方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
サウナの経営には多くのメリットがある一方、デメリットもあります。はじめに、どのようなメリット・デメリットがあるのか理解しておきましょう。
サウナ経営の大きなメリットは、近年のサウナブームにより、ほかの温浴施設よりも見込み客が期待できる点です。コロナ禍により人々の生活は大きく変わり、健康を意識する人が増えました。サウナは血行を促進し、ストレス解消や自律神経の安定を促すといわれており、興味をもつ人の数が増えています。
また、かつては中年が好むものと思われがちだったサウナのイメージが薄れ、若者でも楽しめる印象に変わりました。これには、サウナ好きを公言したり、楽しんでいる様子を動画で配信したりするインフルエンサーやタレントがいることも影響しているでしょう。
さらに、「サウナ―」と呼ばれる愛好家たちは、気に入ったサウナに通い続ける傾向があります。サウナ経営にあたって需要に応えることできれば、多くのリピーター獲得が期待できるでしょう。
サウナを経営するにあたってのおもなデメリットとして、競合店が増えていることと、運営に相当額の水道光熱費がかかることが挙げられます。サウナブームの到来でサウナ施設は続々と増えています。経営にあたっては、競合店に負けないように独自の工夫を凝らし、他店との明確な差別化を図ることが必要です。
また、同じ温浴施設であっても、銭湯は水道代や土地・施設の固定資産税が大幅に減免されていますが、サウナにはそういった制度はありません（※）。そのため、経営には毎月まとまった光熱費がかかります。固定費をカバーして利益を出せるよう、経営時は入念な事業計画を立てることが重要です。
（※）厚生労働省「生活衛生関係営業税制の概要」p12
サウナ経営には、まとまった資金が必要です。ここでは、初期費用と維持費のおおまかな相場に加え、開業・経営資金を調達する方法についても解説していきます。
サウナ開業に必要となるおもな初期費用は、以下のとおりです。
サウナ経営では、サウナ施設や水風呂、シャワーのほかに、フロントや休憩スペース、トイレなどが必要です。リネン庫やバックヤードも必要でしょう。費用は立地や施設の大きさ、設備のグレードなどによって大きく変わるため、金額を断言することはできません。ただし、一般的に坪単価で180万～200万円は必要といわれています。30坪ほどの小規模なサウナで数千万円が必要になる計算です。
ただし、工夫次第で費用をある程度抑えることはできます。たとえば、郊外にテントサウナやバレルサウナを用意し、そばにフロントや休憩スペースがあるログハウスを建てるといった方法であれば、初期費用をある程度抑えられるでしょう。
サウナ経営のおもなランニングコストは、以下のとおりです。
温浴施設で発生する水道光熱費は、利用客1人で1日300円が目安です。1日に100人の来客があれば約3万円、毎日営業すれば1か月で約90万円かかります。また、スタッフを雇う場合には、給料や福利厚生費といった人件費が必要です。まとまった固定費が発生するので、コストをよく考慮して事業計画を立てるようにしましょう。
サウナの開業・経営費用を自己資金だけで賄うのが難しい場合、さまざまな調達手段があります。銀行から融資を受ける方法が一般的ですが、日本政策金融公庫の「新規開業資金」制度を利用する方法もあります。
金融機関からの借り入れを円滑に進めるためには、信用保証協会を利用するとよいでしょう。信用保証協会は金融機関に融資を申し込む際に保証人になってくれる組織で、資金調達や経営のアドバイスも受けられます。いずれの場合も、利用にあたっては事業計画書の提出と返済能力があることの証明が必要です。無理な金額は望まず、適切な範囲で借り入れるようにしましょう。
競合が増えて続けているサウナ経営で成功を収めるためには、十分な事前準備が欠かせません。ここでは、サウナ経営にあたって特に注意すべきポイントについて解説していきます。
まずは、サウナ施設を開業する場所を慎重に選ぶことが重要です。コンセプトが立派で充実したサービスを提供していたとしても、立地に問題があれば多くの来客は望めません。駅から近く、誰でも通いやすい場所が理想です。土地が安い郊外を選ぶ場合は、駐車場を整備して車でも利用しやすくするなどの工夫が必要です。また、出店候補のエリアが決まったら、市場調査を実施しましょう。居住者にターゲット層が多いか、近くに似たコンセプトの温浴施設がないか、需要を確かめることが大切です。
たとえば、女性をターゲットに、エステも受けられる華やかでおしゃれなサウナの開業を予定しているとしましょう。近くに同じようなコンセプトの施設がなければ、サウナに興味がある女性客を獲得できる可能性が高くなります。一方で、居住者に女性が少なかったり、すぐそばに同じような施設がすでにある場合、集客は簡単ではありません。
サウナ経営を成功させるためには、コンセプトの設定が重要です。コンセプトはどのように事業を展開するかを決めるために必要な経営の軸になります。独自性の高いコンセプトを設定すれば、ブランディングもしやすくなり、近隣の店舗と差別化を図ることができます。
コンセプトを考える際は、まずはターゲット層を明確にしましょう。誰でも入りやすい店舗を目指すと、かえって誰にとっても魅力のない平凡な施設になりかねません。ファミリー層や女性、若い男性など、ターゲットを絞ることで訴求力のある事業が展開できます。
ターゲット層を明確にしたらコンセプトを決めていきましょう。「また来たい」と思ってもらうためには、独自性のある内容にすることが大切です。
サウナ室と浴槽があるだけのごく一般的な設備では、他店との差別化が図れません。来店したお客様にほかの店舗と変わらない印象をあたえてしまうと、リピーターにはなってくれないでしょう。
競合店との差別化を図るには、コンセプトに合わせて設備の内容を充実させる必要があります。若者がターゲットであればグルメが味わえる飲食スペースを、ファミリーがターゲットなら子どもが遊べるスペースを設けるなど、需要にあった設備を設置しましょう。なお、飲食スペースを設ける場合は「飲食店営業許可」を取得する必要があります。
サウナは客単価が高い事業ではないため、経営利益を上げるためには多くのお客様に利用してもらうことが必要です。ここでは、集客のために特に意識したいポイントについて解説していきます。
サウナは不特定多数のお客様が利用する施設のため、衛生管理を徹底することが大切です。サウナ室にカビが生えていたり、休憩室が汚れていたりしてはお客様が利用する気をなくしてしまうでしょう。
定期的に隅々まで清掃し、必要に応じて消毒処理をして清潔に保ちましょう。清掃スタッフの指導が難しい場合は外注も可能です。また、サウナスタッフ向けの清掃マニュアルを代行で作成するサービスもあるので、利用を検討してもよいでしょう。
イベントやキャンペーンは、ターゲットに合った企画で実施をすれば集客の施策として効果的です。
たとえば、「新規客限定のサウナ無料体験」や「有名な熱波師によるアウフグースパフォーマンス」など、ターゲットが明確なイベントやキャンペーンを定期的に実施して、新規客やリピーターを獲得しましょう。
経営を軌道にのせるためには、イベントやキャンペーンと同様にターゲットに合わせた効果的なプロモーションを仕掛けることも大切です。たとえば、女性がターゲットで「美容によいサウナ」をコンセプトにしている店舗が、新規顧客獲得を目的としてプロモーションをするとしましょう。
この場合、新聞の折り込みチラシで宣伝してもあまり効果は期待できません。InstagramなどのSNSで宣伝をしたり、女性誌のWeb版に広告を出したりするほうが効果を見込めるでしょう。
なお、宣伝にあたっては、店名や住所、営業時間、地図、最寄り駅など、新規客が来店するのに必要な情報をわかりやすくはっきり記載するようにしてください。見た目ばかり意識していて、必要な情報が不足しているケースが少なくありません。一度訪れたお客様を対象にリピーター獲得を目的とするならば、次回来店時に使える割引クーポンを配布するなど、お得なサービスを提供すると効果的です。
サウナは「サウナ―」と呼ばれる愛好家がいることからもわかるように、リピーターを獲得しやすい業種です。また、ブームが到来していることもあり、一度サウナに行ってみたいと考えている人も多く、一定数の見込み客が期待できます。
ただし、ブームにより競合店が増えているため、サウナを経営するのであれば入念な準備が必要です。市場調査をして集客がしやすい立地を選び、経営コンセプトを明確にして事業計画を立てましょう。
まとまった初期費用がかかるため、事前の綿密な資金計画も欠かせません。ぜひこの記事を参考に、オリジナリティのあるサウナをつくり、着実な運営と効果的なプロモーションで経営を成功させてください。
